79年発売、定価￥14900のホームラジオです。この下にRE-796と言うモデルが有りオークションでは其方を落札したと思っていました。届いてみると大きいのに驚いたのですが、796は12cmスピーカー、こちらは16cmで丁度その違いに合わせて縦横を拡大した感じです。796は比較的長命なモデルだったと思いますが、このモデルはそれよりも後で、LEDを使ったチューニングインディケーターが付いています。ナショナルのこの時期前後のホームラジオは何種類か扱っており、当然その系統の音を予想していたのですが、整備して音を出して見ると良い意味で裏切られました。丁度音の出し始めの時にNHK FMで山下洋輔さんのピアノとトリオのフリージャズがかかったのですが、そのドラムやベースの音が正に70年代のジャズ喫茶などで聞いていたジャズの音そのものだったので仰け反りました。表現が難しいのですが、ミッドバスが結構柔らかく、しかし強く出てきて、良く響く感じ、でしょうか。普通ラジオの音は部屋の中では大きめに聞こえても隣室になると途端に音が小さくなるのですが、このラジオの音は結構低い方の音が響いてきます。隣室にいても良い感じのジャズのグルーブ感が感じられる音、と言う感じです。勿論その音の柔らかさの理由の大半はこのクラスとしては大きめの16cmのスピーカーに依る部分が大きいのでしょうが、このモデルと同じ(と思われる)スピーカーを使っているナショナルのポータブルラジオ(RE-740)や、少し前のホームラジオ( RE-788、出品中です)よりもずっと雰囲気の有る良い音です。尚、この後継機RE-790は16cm2ウェイでよりシャープな音ですが、逆に70年代の雰囲気は無くなります。理由は良く分かりませんが、ボディが結構大きく、背面開放に近い構造なのでスピーカーが楽々動く事、技術の進歩で特にFMの受信部、アンプが良くなっている事に依るのかと思います。尚、あくまでこれらは小生の私見です。この個体は大音量で鳴ると言う触れ込みでしたが、何の事は無い、ボリュームの故障で小音量に絞れないことが理由でした。勿論調整済みでスムーズな音量調整が可能。全体は可也綺麗ですが仔細に見ると木目シールが多少剥がれていて、再接着しています。機能的には問題は無く、FMも高感度です。70年代の良い音に惚れたので多少高めです。

ナショナル・パナソニック・テクニカルガイド 1979年(昭和54年)

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ナショナル RE-896 - テレビ修理-頑固親父の修理日記

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